鬱の力

鬱の力 (幻冬舎新書)

鬱の力 (幻冬舎新書)

会社の同僚が2年間の鬱との戦いから、先月会社を去った。こんなことがあったから、本書を書店で目にした時、タイトルが気になり本書を取ってみた。

本書は、作家の五木寛之氏と精神科医香山リカ氏の対談をまとめ上げた本だ。本書のタイトル「鬱の力」から推測できるように、本書は、なぜ鬱になるのか、どうやったら改善方法に向かうのかといった本ではない。

戦後60年を「躁」と呼ぶならば、これから迎える時代を本書では、「一億総ウツ状態」だと言う。例えば人口が減ることが、悪い方向に向かっていることは本当かという議論でも、スウェーデンを例に取り、必ずしも悪いことではなく、いいことを生み出すこともある一例(例えば、人口が減少することによって、落ち着く等)を紹介している。

本書では、さすが五木氏と思えるぐらい、たくさんの作家や作品と鬱を照らし合わして考えている。鬱が世の中を変えて、大きなパワーを持っていることを色々な角度から示しているが、本書はわかったようで、わかっていないような気がするので、あとからもう一度読み直してみたいと思う。