涙の理由

涙の理由

涙の理由

私は、重松清の優しいストーリー展開の小説が好きだ。そして、脳化学者の茂木健一朗の著作にも大変興味を持っている。

その二人が2年間の対談で作りだした本に大変興味を持ち、本書を手に取った。

本のタイトルは「涙の理由」。人はなぜ涙を流すのか、その理由について対談がなされたのかと思ったが、読み進めていくうちに、それだけじゃないことに気がついた。

本書の中で;
重松清:「小説の中に友達がいると思う。」
茂木健一朗:「ここまで温かい小説を書くのは逆におかしい。」
とある。

重松清がなぜ優しい小説が書けるのか、本書を読んでよくわかった。
その理由とは。ネタバレになってしまうので、ここでは触れないが、重松清ファンにはぜひ読んで頂きたい本だ。

本書で言いたいことは、涙の質についてだ。
本書の中で印象に残った言葉:
P178「涙は自分を表すんだから、「チャチなもので涙を流すんじゃない」

P191 「ひとことで「涙」と言っても、涙という生理現象は一つですが、そこに到る心理的理由は、それこそ自然界におけるさまざまな動物種と同じくらいの数がある。」

涙と文学を結びつけているところ、涙が軽く扱われていることについても言及しているところが本書の面白いところなのではないだろうか。